研究内容
秘密計算技術とその応用
秘密計算は、データを秘匿しながら計算を行う技術です。具体的には、データを暗号化したまま計算を行い、結果も暗号化された状態で得ることができます。これにより、データの内容を、 計算を代理で行う第三者に知られることなく、安全に処理することが可能です。
例えば、複数の企業が共同でプライバシーデータの分析を行いたい場合に、各企業のデータを秘密計算技術を使って暗号化し、そのまま分析を行うことで、データのプライバシーを 守りながら共同作業ができます。この技術は、医療データの共有や金融データの分析など、プライバシーが重要な分野で特に注目されています。
秘密計算にはいくつかの方法がありますが、代表的なものには次のようなものがあります:
- 準同型暗号:暗号化されたデータに対して直接計算を行うことができる技術。
- マルチパーティ計算(MPC):複数の参加者がそれぞれのデータを共有せずに共同で計算を行う技術。
- 秘匿回路:暗号化されたデータを使って論理ゲートを構築し、計算を行う技術。
- TEE(Trusted Execution Environment):CPU内に安全な領域を作り、その中でデータを暗号化して処理する技術。
サイバーセキュリティ対策
サイバーセキュリティの研究は、ITシステムやネットワークを保護し、サイバー攻撃からデータとプライバシーを守るための技術と方法を開発・改善することを目的としています。 当研究室では現在、特にフィッシング攻撃に対する対策について研究を行っています。フィッシング攻撃は、信頼できる機関を装って偽のメッセージやウェブサイトを使い、 個人情報や機密情報を不正に取得しようとするサイバー攻撃です。
信頼できるWebサービス構築技術
信頼できるWebサービスを構築するためには、情報セキュリティ対策だけでは十分ではありません。ユーザのプライバシーへの配慮や、処理の透明性や公平性などを提供することが 必要になってきます。当研究室では、ユーザにわかりやすいプライバシーポリシーの提供方式や、暗号技術を応用した透明性向上技術、新しい公平性概念の検討なども行っています。